培養皮膚移植とは?

培養皮膚移植とは,皮膚の細胞を体外にて培養し,機能的な皮膚を構成し移植に用いるものである。現在培養皮膚はその構成細胞により[1]培養真皮,[2]培養表皮,[3]三次元培養皮膚に分類され,用いる細胞の由来により自家(本人の細胞)および他家(他人の細胞)移植に分けられる。最近のトピックスとして,三次元培養皮膚があげられる。

表皮シート作製法

切手大の皮膚を採取し,ディスパーゼ処理にて表皮と真皮を分離する。表皮はトリプシン処理にて細胞を分散し,無血清培地であるMCDB153培地を用いて培養を行う。真皮は,ダルベッコ変法MEM培地に10%牛胎仔血清(DMEM10%FCS)を加えた培地にて培養する。表皮角化細胞がシャーレの80%以上に達すれば継代を行い,3~4代継代した細胞を用いて培養表皮シートを作成する。 具体的には,表皮角化細胞がシャーレの95% 以上に増殖した時点で培養液をDMEM10%FCS に変更し,さらに7~14日培養を続けることに より,重層化した表皮ができあがる。また,より良い培養皮膚を作成するには幹細胞を培養することが必要である。

培養皮膚の夜明け

ボストンにあるマサチューセッツ工科大学の研究室で、試験官内での細胞培養に没頭していたグリーン博士は、顕微鏡下で、ある日奇妙な現象に気が付きました。  
表皮細胞が、混在した繊維芽細胞に排除されずに、元気よく増殖しているのです。  
元来繊維芽細胞は増殖能が旺盛で、他の細胞を押さえ付けて自分だけ増え続ける傾向があります。
表皮細胞の培養のため。皮膚を表皮と真皮にわけて、表皮細胞だけを採取したつもりでも、繊維芽細胞を完全に取り除くことは容易ではありません。その際、僅かながら混入する繊維芽細胞が表皮細胞を圧迫し、駆逐してしまうことが、此れまで表皮細胞の培養を難しくしてきましのです。  
しかしこの時グリーン博士の使った繊維芽細胞は、正常の皮膚由来のものではなくて、ネズミの腫瘍から取れた3T3と呼ばれる特別のものでした。  
更に分かったことは、3T3は表皮細胞の生育の妨げにならないだけでなく、積極的に其の増殖を支えるということでした。  
次に博士がしたことは、あらかじめシャーレの表面を3T3細胞で埋め着くし、それに放射線をかけるか又は制がん剤を加えて分裂を止めておきます。其所へ表皮細胞を播けば、3T3のシーとの上で表皮細胞だけが増殖し、やがて3T3は分裂を続ける表皮細胞に押しのけられ、表皮細胞のみの培養ができあがります。此れに使われた3T3はフィーダーレイヤー、サポート細胞層と呼ばれるようになりました。  
更に実験を進めると、人間の表皮細胞も、3T3を使えば培養が可能なことが分かってきました。 その後博士等のグループは培養条件の改良を重ね、切手大の皮膚から三週間でほぼ三千倍の表皮のシートを培養で造りだすことに成功しました。
198?年、此れが州の重症の火傷の少年に用いられ、98%の熱傷患者を救うという画期的な成功につながることになります。それまでは90%以上の熱傷の救命率はゼロだったのです。  
此れをきっかけに培養皮膚の研究は全世界で行なわれるようになり、表皮だけのシートでなく真皮層を組み合わせたものや、遺伝子操作を行った細胞を組み込んだり等多方面に発展し、話題の新分野、再生医学の最先端となりました。

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